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VODとは? ホテルVODの今と昔
VODとは? ホテルVODの今と昔

「VODって何ですか?」
ホテル業界に関わっていない方からすると、
少し分かりづらい言葉かもしれません。
VODとは Video On Demand の略で、 課金制のコンテンツ配信サービスを指します。
従来の「ペイテレビ(決まった番組を決まった時間に見る仕組み)」に代わり、 ゲストが好きなコンテンツを、好きなタイミングで視聴できるようになったことで、ホテル業界でも広く普及してきました。
昔のVOD
少し前まで、
ホテルVODの主役はルームシアターでした。
- 客室で映画やコンテンツを視聴できる
- 利用ごとに課金が発生する
- ホテルにとっては「もう一つの収益源」
ホテル側も、
「VOD=ルームシアターによる収益装置」
という認識を持っていたはずです。
一方、利用者側の認識はもっとシンプルでした。
券売機で券を買い、部屋で視聴する“あのコンテンツ”。
目立たないけれど、ホテルには不可欠なサービス。
それが、当時のVOD(ルームシアター)の立ち位置でした。
ルームシアター需要は、なぜ低下したのか

その後、状況は大きく変わります。
まず起きたのが、
ルームシアター需要そのものの低下です。
背景には、いくつもの要因があります。
- インターネット環境の低コスト化・高速化
- スマートフォンの急速な普及
- 動画配信サービス(Netflix、Hulu、Prime Video など)の一般化
- アダルトコンテンツのコモディティ化
特に大きかったのは、
「無料でアダルトコンテンツが視聴できる環境」が社会全体に広がったことです
(不本意ながら、違法なものも含め)。
その結果、ホテルのテレビでルームシアターを見る必然性は、徐々に薄れていきました。
ルームシアター内で一般映画の配信も行われていましたが、コンテンツ量・コスト・質のいずれにおいても、動画配信サービスには太刀打ちできず、「勝負にならない」状況になっていったのです。
一方で、テレビはどんどん高機能になった

ルームシアター需要が下がる一方で、
テレビそのものは進化しました。
Android TV など、STB(セットトップボックス)の機能を内蔵したテレビが登場し、 客室でも動画配信サービスを利用できるようになりました。
ただし、テレビの高機能化は新たな課題も生みました。
- 初期設定が複雑になる
- トラブルの切り分けが難しくなる
- 現場スタッフだけでは対応しきれないケースが増える
ここで、ホテルがVODシステムに期待する役割も変わっていきます。
人手不足とインバウンドが、VODの役割を変えた

もう一つ大きな変化があります。
それが、
人手不足による省人化・省力化と外国人ゲストの増加です。
- 接客対応の時間を減らしたい
- 清掃スタッフの手間を減らしたい
- 多言語で案内を表示したい
こうした要請に応える中で、 VODシステムは次第に、
「コンテンツ配信」よりも「ホテルインフォメーションを提供する仕組み」
としての役割を強めていきました。
今のVODの主役は、何か

では、今のVODの主役は何でしょうか。
結論から言うと、「テレビインフォメーション」です。
現在のVODシステムは、
- 館内施設の案内
- 利用方法や注意事項の表示
- 清掃や滞在状況に応じた情報切り替え
- 外国人ゲスト向けの多言語表示
といった、
ホテルからゲストへの情報提供の役割を担っています。
かつて主役だったルームシアター(コンテンツ配信)は、
今では数ある機能のひとつに過ぎません。
一方で、
ゲストが必ず目にする「客室のテレビ」を起点に、
必要な情報を、必要なタイミングで届けられる点において、
VODは今も非常に重要な存在です。
つまり現在のVODは、
コンテンツを売る仕組みではなく、ホテルの情報を届けるための基盤。
この役割こそが、
いまのホテルVODの中心になっています。

